2021年10月のアンリミテッド概観  

2021年11月3日にJCGスイスドロー大会がアンリミテッドフォーマットにて開催されます。(→大会ページ)

最後にプロリーグのフォーマットとして採用された試合が2019年1月20日(次元歪曲環境)、最後に開催された大型大会がJCGミリオンカップ 鋼鉄の反逆者 Vol.3の2019年6月23日、RAGEのサイドイベントもアルティメットコロシアム環境が最後と、2年振りに開催されるアンリミテッドの大型大会となります。

(参考配信:第8節 RAGE Shadowverse Pro League セカンドシーズン,JCG Shadowverse 鋼鉄の反逆者 ミリオンカップ Vol.3 GRAND FINALS (アンリミテッド大会))

競技メインのプレーヤーの中には、ここ2年殆どアンリミに触れてないという人もいると思います。今回は、2021年10月現在のアンリミテッドについて代表的なデッキや注目のカードを述べていきます。



最強のデッキ【AFネメシス】  

全くアンリミテッドに触れていなくとも噂だけは聞くであろうデッキ、【AFネメシス】。実際に圧倒的なパワーを誇り、現在のアンリミ環境においても最強デッキとして君臨しています。

このデッキを強デッキたらしめているカードが、《機構の解放》《カイザーインサイト》です。

無限PP無限ドロー  

《機構の解放》
コスト1/ネメシス/スペル
自分のリーダーは、ターン終了まで「自分の場にアーティファクト・カードが出るたび、自分のPPを1回復して、カードを1枚引く」を持つ。
《加速装置》
コスト1/ネメシス/アミュレット
カウントダウン 3
自分の場にアーティファクト・フォロワーが出るたび、それは突進を持つ。
自分がアーティファクト・カードをプレイするたび、自分のPPを1回復。


1ターン限定ながら「アーティファクトが場に出る度に1PP回復+1ドロー」をリーダーに付与するスペル、《機構の解放》

単体で使っても手札のアーティファクトをドローに変換できる十分な性能を持ちますが、このカードの真価はPP回復効果を重複させられる点にあります。似た効果のPP回復を持つ《加速装置》が存在することから、1枚のアーティファクトカードをプレイすることでPPが2回復する状況を容易に生み出すことが可能。これにより、1コストのアーティファクトフォロワーである《アナライズアーティファクト》や《エンシェントアーティファクト》をプレイすることで、PPが増えることになり、手札のアーティファクトカードが尽きない、また対戦相手の場に当たり先がありこちらの盤面が埋まらない状況下では「無限PP無限ドロー」の状態になります。

【AFネメシス】はこの無限PP無限ドローにより、3ターン目に《アナライズアーティファクト》を並べて《マーキュリーイージス・シオン》のバフを乗せる、5ターン目に5コストの《レディアントアーティファクト》を3枚プレイしてOTKなどといった爆発的な動きをすることができ、これがデッキの最大の強みとなっています。

《カイザーインサイト》による安定性と柔軟性  

《カイザーインサイト》
コスト10/ネメシス/フォロワー
アクセラレート1;手札1枚を選択して、選択したカード以外の手札をすべて消滅させ、「消滅させたカードの枚数」と同じだけカードを引く。1ターン目なら、さらに1枚引く。
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ファンファーレ ランダムの相手のフォロワー1体と相手のリーダーに7ダメージ。自分のリーダーを7回復。相手ターン終了まで、潜伏を持つ。

もう一つの要が、手札を一気に交換できるカード《カイザーインサイト》です。

手札を1枚残しつつ最大で7枚デッキをめくることができ、手札操作カードとして最高峰の性能を持ちます。このカードの存在により、ゲームに与える影響が大きい《機構の解放》を引ける確率が大きく高まっており、また手札のリフレッシュ能力により単体では機能しないカードで構成されているこのデッキの事故率を大きく下げてもいます。その他、加速解放下でアーティファクトフォロワーやシオンを探す、特定の対面に有効なメタカードを引きに行くといった動きもでき、派手さはないもののこのデッキを支える極めて強力なカードと言えます。

強力なメタカード群  

《虚数物体》
コスト1/アミュレット/ネメシス
カウントダウン2
このアミュレットが場にある限り、自分のリーダーへの4以上のダメージは3になる。
ファンファーレ 自分の手札にアーティファクト・カードがあるならランダムに1枚捨て、カウントダウンを2遅らせる。
《浄化の輝き・ミュニエ》
コスト2/フォロワー/撚糸す
2/2→4/4
ファンファーレ 他のフォロワーすべては、能力すべて(攻撃力/体力はそのまま)を失う。

進化時 相手のアミュレット1つを消滅させる。

強みの一つに、メタカードの存在も挙げられます。

《虚数物体》は多くのコンボ系デッキ刺さるダメージカットアミュレットで、このカードを張るだけで大きく勝ちに近づく対面も存在する強カード。《浄化の輝き・ミュニエ》もこのデッキの苦手とする攻撃されないフォロワーに対処できるカードであり、進化時能力でアミュレットデッキにも対応することができます。

またこれらのカードは、ピン刺しだとしても《機構の解放》のドロー力や《カイザーインサイト》の存在により積極的に探しに行くことができ、刺さる対面に高い確率でプレイできます。


以上の要素により【AFネメシス】はアンリミテッドの最強デッキとして活躍しています。慣れが必要なデッキではありますがずば抜けたパワーを持ち、スイスドローに向けて最もお勧めできるデッキとなります。

AFに対抗する【超越ウィッチ】  

同じく現在のアンリミを代表するデッキである【超越ウィッチ】《次元の超越》のコストを下げきり連続して自分のターンに持ち込むことで勝利を目指すデッキです。

《次元の超越》
コスト20/ウィッチ/スペル
スペルブースト コスト-1
このターンのあと、自分の追加ターンを行う。

6T超越を安定させる《水晶の魔剣士》  

《水晶の魔剣士》
コスト3/フォロワー/ウィッチ
3/3→5/5
ファンファーレ スペルブーストを1回行う。自分のデッキが20枚以下なら、1回ではなく5回。


「安定した6ターン目の超越発動」がこのデッキの強みであり、それを実現しているのが3コストで5回スペルブーストを行う《水晶の魔剣士》です。

このカード1枚でも、「5回スペルブーストする」→「コストが0になった、他のスペルブーストを進めるカードをプレイする」で7~8回、更に《水晶の魔剣士》を引ければ1ターンで十数回スペルブーストを進めることができ、《次元の超越》の後引きが許容されます。

世代交代を重ねてきた「スペルブーストでコストの下がるドローソース」をアンリミテッドでは全て使用できるためデッキの回転率も良く、相手の場を捌きながらでも6ターン目開始時までの20枚以下を容易に狙うことが出来ます。


対AF性能  

またこのデッキの大きな長所として、【AFネメシス】に有利に立ち回れる点があります。

これは当て先となるフォロワーの展開を抑えてゲームを進められることが大きな要因です。

前述の通り、AF側の無限PP無限ドローは、「1コストアーティファクトフォロワーを十分な回数プレイ出来る」=「対戦相手の盤面にそれらのフォロワーの当て先が存在し、1コスアーティファクトフォロワーを自壊させることが出来る」という前提の元に成り立っています。このデッキはスペルを中心にゲームを進め、フォロワーの展開を抑えてもコンボの進行が可能。

また、超越のコンボをAF側がメタカードで受け止めることが出来ない点も挙げられます。AFの強みに《虚数物体》の存在によるコンボデッキ耐性がありますが、それでは《次元の超越》による追加ターンコンボを止めることが出来ません。カードプールにも有効なカードは存在せず、能動的に盤面展開していくか、相手が出さざるを得なかったフォロワーを起点にした攻めがメインとなります。

対して超越側は、《輪廻の女神》→《極光の天使》や、《禁約の黒魔術師》と明確にAF対面に有効なカードを搭載でき、ある程度AF側の攻めを減速させることが出来ます。


以上のように、安定した6ターン目追加ターン突入という純粋な強デッキであることに加え、【AFネメシス】に対抗できるデッキであることから、【超越ウィッチ】はアンリミテッドの中心デッキの1つとなっています。スイスドロー大会においても、メタの一角を担うことになると思われます。

至高の領域に到達した【狂乱ヴァンプ】  

十天覚醒、暗黒のウェルサ、リナセントクロニクル、災禍を超えし者と継続して新カードを獲得している【狂乱ヴァンプ】も現在のアンリミ環境の強デッキの一つです。

2種類の直接召喚フォロワー  

自傷軸を代表する直接召喚フォロワーである《フラウロス》と、現在のローテーション環境でも活躍中の直接召喚フォロワー《煉獄のダークナイト》を軸にしたアグロデッキである【狂乱ヴァンプ】。

《フラウロス》
コスト4/フォロワー/ヴァンパイア
5/3→7/5
直接召喚 3ターン目かそれ以降の自分のターン中、自分のリーダーがダメージを受けたとき、それがこのターン中に4回目なら、このカードを1枚、デッキから場に出す。
ラストワード 自分のリーダーを3回復。
《煉獄のダークナイト》
コスト4/フォロワー/ヴァンパイア
4/4→6/6
直接召喚 自分のターン終了時、狂乱状態なら、これを1枚、自分のデッキから場に出す。その後、自分のデッキの煉獄のダークナイトすべてを消滅させる。
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守護
ファンファーレ 自分のリーダーを4回復。

4回自傷で場に出る《フラウロス》と狂乱達成で場に出る《煉獄のダークナイト》は似たようで異なる直接召喚条件を持つ2枚ですが、0コスト自傷カードである《眷属への贈り物》《不穏なる闇の街》、1コストで複数回自傷を稼ぐアミュレット《鮮血の花園》の存在により、3ターン目の同時直接召喚を狙うことが出来ます。

3ターン目に展開された《フラウロス》+《煉獄のダークナイト》は処理が苦手なデッキに対してはそのまま勝ち切る破壊力を持ち、例え処理が可能なデッキであったとしても要求値が高いことが殆どです。これらが処理されずに次のターンを迎えた場合一気にライフを落とし込むことができ、《闘志の人狼》、《鋭利な一裂き》、《デモンディーヴァ》など後続の打点と合わせて早期決着が狙えます。

また7コストながら1枚でゲームに勝ちうる《闇喰らいの蝙蝠》もデッキに採用されていることがあり、このデッキの対処を難しくしています。


AF、超越と比べて動きが明快で真っすぐなこともあり、あまり練習時間を割けないプレーヤーから人気を集めることが予想できます。

その他注目のデッキ、ギミック  

【疾走スペルウィッチ】  

《魔法剣》
コスト7/スペル/ウィッチ
スペルブースト コスト-1
自分のフォロワー1体を+2/+2する。

もう一つのスペルウィッチである【疾走スペルウィッチ】

《次元の超越》が欠損すると厳しいゲーム展開を強いられる【超越ウィッチ】に対して、こちらは特定のカードへの依存度が低い点が長所。

《究明の魔術師・イザベル》の《アルティメットマジック》も、疾走とバーンで削り切りを目指すメインプランを補助するサブプランとなり、デッキに合致しています。

【超越ウィッチ】と同じくスペルベースのデッキでパワーがあり、こちらもスイスドローで見かけることが多いだろうと思われます。

《安息の領域》  

《安息の領域》
コスト2/アミュレット/ビショップ
カウントダウン2
自分のターン終了時、自分の場に攻撃済み状態のフォロワーがいないなら、次の自分のターン開始時まで、自分のリーダーへの4以上のダメージは3になり、次の自分のターン開始時まで、自分のビショップ・フォロワーすべては「このフォロワーは攻撃されない」を持つ。
《アイギーナ》
コスト3/フォロワー/ビショップ
3/2→5/4
ファンファーレ 自分のリーダーは「受けるダメージを-3する」を持つ。この能力はこのフォロワーが場を離れるとき失われる。

ビショップの誇る強力なダメージカットアミュレット、《安息の領域》

リーダーの受けるダメージを-3する《アイギーナ》と合わせることで、「3点以下のダメージは0に、4点以上は-3軽減」という強固なバリアを張ることが出来ます。

《楽園の双翼・ガルラ》からの両者確定リクルートが可能な【ヤテラントゥビショップ】にメインギミックとして採用されており、攻撃されない能力や各種消滅カードの存在から【AFネメシス】に対抗しうるデッキの1つとなります。

《栄華の加護神・ヤテラントゥ》がナーフされたこと、ここのところJCGの開催が無かったことからあまり研究が進んでいないですが、消滅がジェネシス型のAFに特に刺さるということもあり、大会ラッシュを機に環境に出てくる可能性はあると思います。

《ジェネシスアーティファクト》  

《ジェネシスアーティファクト》
コスト4/フォロワー/ネメシス/アーティファクト
2/5→4/7
ファンファーレ 「このバトル中に破壊された自分のアーティファクト・カードの名前」が6種類以上なら、キャノンアーティファクト2枚を手札に加える。

進化時 ガードアーティファクト1体とディフェンスアーティファクト1体を出す。
《キャノンアーティファクト》(トークンカード)
コスト1/フォロワー/ネメシス/アーティファクト
2/2→4/4
疾走
ファンファーレ 相手の場にフォロワーがいるならランダムなそれ1体に、いないなら相手のリーダーに、「自分の場のアーティファクト・カードの数」と同じダメージ。

今までの【AFネメシス】の常識を覆すカード、《ジェネシスアーティファクト》

このカードが生成する《キャノンアーティファクト》により、今まで苦手としていた「相手の盤面が空の状況から大きな打点を出す」ことが可能になりました。

これまでは対AFの立ち回りとして「当て先の制限(フォロワーを出さない)」が一定の効果を発揮してきましたが、ジェネシスAFの登場でその状況が一変。盤面形成能力により処理能力の低いデッキへの圧力にもなる点もあり、対AFの立ち回りが今まで以上に厳しくなっています。

このカードについては近日中に別記事を出す予定です。

《デッドリーエルフ》  

《デッドリーエルフ》
コスト2/フォロワー/エルフ
1/2→3/4
融合;フェアリー
これを融合したとき、それがこのバトル中に3枚目なら、カードを3枚引く。6枚目なら、相手のフォロワーすべてに6ダメージ。9枚目なら、自分のリーダーを9回復。
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必殺
ファンファーレ 「これに融合した枚数」が10枚以上なら、相手のデッキにフェアリー10枚を加える。

進化時 相手のフォロワーすべてに2ダメージ。

0コスト6点AOEとなる《デッドリーエルフ》

現在のアンリミテッドで注目を集めている1枚で、このカードを採用した【フェアリーエルフ】が考案されています。

現状は《デッドリーエルフ》や《ブラストフェアリー》の処理と《リノセウス》や《神鉄圧錬法》のフィニッシュを組合わせたデッキとなっており、特に《ブラストフェアリー》とバウンスの組み合わせによる序盤の除去能力の高さは評価できます。

構築プレイ共にまだ模索段階ですが、カード自体のポテンシャルが極めて高いため、今回のJCG3連戦で上がってくることが期待できます。

終わりに  

久しぶりの大型大会、しかもRAGEのシード権付きということで人数が集まることに期待しています。通常のJCG自体も約3ヵ月ぶりの開催で、久々に様々なアンリミテッドの構築が見れるのが楽しみです。



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Last-modified: 2021-10-22 (金)