2023年1月26日、《オリハルコンゴーレム》と《骸の王》のナーフが施行された。青天の霹靂といえる発表である。まさかこの環境で、このタイミングでナーフが来るとは思わなかったというのが率直な感想だ。
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《ドアマンバット》や《忌まわしき再誕》といったローテの環境調整の余波を受ける形や、《機構の解放》や《勇気の少年・カシム》ら制限指定による環境調整は度々行われていたが、アンリミテッドだけを対象としたナーフによる環境調整は2021年1月26日の《スカルフェイン》以来2年ぶりの出来事である。
調整対象となった【骸ネクロ】と【秘術ウィッチ】はEAA環境の強デッキであったが、これまでの環境を振り返れば同程度の強度/支配率を誇るデッキは度々存在しており、今回のナーフの是非や運営チームのアンリミ環境調整方針の転換などが議論されている。
《オリハルコンゴーレム》(ナーフ後) コスト5/フォロワー/ウィッチ 5/5→7/7 アクセラレート 2;土の秘術X;「クレイゴーレム1体を出す」「真理の術式1枚を手札に加える」「相手のリーダーに2ダメージ」の中から、ランダムに1つの能力が働く。これをX回行う。Xは「自分の場のスタックの数」である。 --------- ラストワード 大地の魔片2つを出す。オリハルコンゴーレム1枚を手札に加え、そのコストを7にする。
《オリハルコンゴーレム》は1コストで場にあるスタックをすべて消費する、1コストで無限大のスタック消費を可能とする存在であり、【秘術ウィッチ】のスタック消費7の早期達成に貢献してきたカードである。
このカードの存在ゆえに《スペリオルコントラクター》や《アストラルシャーマン・ライリー》のバリューが高まり、《アダマンタイトゴーレム》や《工房の錬金術師・ノノ》といった0コスト土の印カードの採用が肯定されてきた。
ナーフによりスぺコンやライリーの着地ターンが遅れることは、対【ホズミエルフ】や対【超越ウィッチ】といった攻撃的に立ち回る対面、対【狂乱ヴァンプ】や対【ハンドレスヴァンプ】といった守備的に立ち回る対面、双方にとって痛手であり、また苦手なマッチである対【ベレロビショップ】の攻略をより難しくするだろう。
ただ、ナーフ前《オリハルコンゴーレム》の下位互換であるものの代役を果たしうる《アシッドゴーレム》や《滅拳の魔女・マギサ》が存在していること、また近い将来間違いなく秘術軸を強化するカードが登場することから、未来は暗くないと思われる。
《骸の王》(ナーフ後) コスト9/フォロワー/ネクロマンサー 8/8→10/10 自分の場にカードが4枚ある限り、自分の手札のこのコストを-8する。 ファンファーレ 自分の場の他のカードが4枚なら、自分の場の他のカードすべてを破壊する。
【秘術ウィッチ】と比較した際、絶対に代替不可能なカードである《骸の王》が直接調整されたことのダメージは大きい。
5TOTKデッキの【ホズミエルフ】が環境の一角を占める以上、1PPのコストアップによる平均展開ターンの遅れは言うまでもなく致命的である。
《虹の輝き》による妨害の影響も増しており、現時点では厳しい環境になりそうだと考えている。
今後は細かなPP/盤面調整をするため、ナーフ前では優先度の低かった1コストネクロマンサーフォロワーやアミュレットの評価が向上するか。
CDB環境において大きな影響力を誇った【ホズミエルフ】は、大型疾走打点である《深淵の大佐》の登場により《化かし女将・ホズミ》の進化時で骸展開をいなすのが難しくなったこと、また《アストロジカルソーサラー》/《禁約の黒魔術師》と2種類のメタカードを擁する【秘術ウィッチ】のパワー(安定感)が向上したことによって、環境の第一線を退いていた。
目の上のたんこぶであった両デッキの弱体化によって、環境の最前線に舞い戻ることは間違いない。
《オリハルコンゴーレム》のナーフで攻撃性能の低下した【秘術ウィッチ】と、豊富な新カードを獲得した【狂乱ヴァンプ】対面に対してどれだけ戦えるかが当面の注目要素だろう。
《悪魔の笛吹き》 コスト1/フォロワー/ヴァンパイア 1/1→3/3 突進 ドレイン 攻撃時 狂乱 状態なら、+2/+0する。 ファンファーレ 自分のリーダーに1ダメージ。
ナーフによって大きく恩恵を受けるのは、アグロデッキである【狂乱ヴァンプ】と【ハンドレスヴァンプ】だ。
両者共に、3点回復を持つ《深淵の大佐》にライフレースを破壊されていたことと対アグロ性能の高い【秘術ウィッチ】の隆盛の影響を多分に受けていたデッキであり、これらの弱体化の影響は極めて大きい。
特に【狂乱ヴァンプ】は《悪魔の笛吹き》、《バイオレントスクリーム》と強力な新戦力を2種類も獲得しており、大きく期待がかかるデッキとなる。
《安息の領域》 コスト2/アミュレット/ビショップ カウントダウン 2 自分のターン終了時、自分の場に攻撃済み状態のフォロワーがいないなら、次の自分のターン開始時まで、自分のリーダーへの4以上のダメージは3になり、次の自分のターン開始時まで、自分のビショップ・フォロワーすべては「このフォロワーは攻撃されない」を持つ。
前環境はホズミOTKへの対策として、今環境では《深淵の大佐》OTKへの対抗手段として活躍を見せた《安息の領域》擁する【ベレロビショップ】。構造的に【秘術ウィッチ】に強い点も大きな追い風となってきた。
ナーフによって【骸ネクロ】と【秘術ウィッチ】らターゲットとなるデッキが現状するものの、【幻獣ホズミエルフ】や【庭園ゾーイドラゴン】【ディスカードドラゴン】といった【ベレロビショップ】に強いデッキは上述の【(シンシア)ホズミエルフ】や【狂乱ヴァンプ】【ハンドレスヴァンプ】を苦手としており、それ程大きく勢力を拡大することはないと思われる。
インフレによるコンボデッキの高速化に伴って、絶対守護神たる《安息の領域》の価値も向上し続けている。