EAAアンリミ(3) 激動の3ヵ月を過ごした骸ネクロ  




激動のEAAシーズン  

八獄魔境アズヴォルトリリース  

2022年12月27日、第27弾カードパック 八獄魔境アズヴォルトがリリースされ、EAA環境が幕を開ける。

新カードの中で最もアンリミテッドに影響を与えたカードは間違いなくネクロマンサーの《深淵の大佐》だろう。

《深淵の大佐》
コスト9/フォロワー/ネクロマンサー/八獄
6/6→8/8
結晶 2; カウントダウン 5
ラストワード 深淵の大佐1体を出す。
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疾走
守護
ラストワード ランダムな相手のフォロワー1体を破壊する。自分のリーダーを3回復。


《スピリットイーター》や《幽暗の墓守》同様、結晶置き→ラストワードの形でも場に出すことの出来るフォロワーであり、言わずもがな【骸ネクロ】と極めて相性が良い。

新環境はこのカードを活かした【骸ネクロ】の構築の模索、また他のデッキは【骸ネクロ】の対策からスタートすることとなった。

《深淵の大佐》がデッキに与えた変化  

《深淵の大佐》がデッキに与えた影響として、第1に手軽かつサーチ可能な大型疾走の加入でキルターンが早まった点が挙げられる。

従来の型は骸展開に疾走打点を仕込むのに「《幽魂の棺》+《双極の生命・フラムグラス》or《デッドメタルスター》」と2枚のカードが必要であったのに対し、《深淵の大佐》は単体完結して疾走打点となる上《アズヴォルト》《フレイア》ら「八獄タイプを利用したサーチカード」により複数枚展開も容易。

これまでよりライフを削る力が大幅に向上し、更に3枚揃えての「《深淵の大佐》×3+進化」20点OTKが現実的に狙えるようになるなど、全体的にキルターンが早まっている。

第2に「守護+ラストワード除去+ラストワード回復」により、骸展開前に押し込まれたライフ/盤面を取り返す力が向上した点も挙げられる。《スピリットイーター》と合わせてこれまで以上に骸展開での形成の逆転に成功しやすくなった。 特に《月下の跳躍》や《スペリオルコントラクター》などの疾走打点で押し切られづらくなったのが大きい。


また構築面での変化も見逃せない。単体完結した結晶大型フォロワーが増えたことにより《幽魂の棺》の価値が下がり採用確定枠から外れるようになり、これまでは標準搭載されていた《デッドメタルスター》もほぼ見られなくなった。

これと合わせ、デッキ内のネクロマンサーフォロワーを《骸の王》、《深淵の大佐》、《スピリットイーター》に絞り、《百鬼夜行》から手札に加えるカードの質を高める構築が広まっていく。(リアクションのカードである《スピリットイーター》を0~2枚採用にし、更に精度を高めた型も多かった)

「《百鬼夜行》により、9枚のネクロマンサーフォロワーの中から2枚引いて《骸の王》を手札に加える確率」は単純計算で6割ほど(7/12)であり、これまでより高い確率で《骸の王》を手札に加えられるようになる。


このようにデッキの爆発力と安定感が共に向上し、【骸ネクロ】は環境トップデッキの一角として大活躍を見せる。

《骸の王》ナーフ  

上述のように環境の中心デッキとして大暴れしていた結果、2023年1月27日になんと能力変更による弱体化受ける。


《骸の王》(ナーフ後)
コスト9/フォロワー/ネクロマンサー
8/8→10/10
自分の場にカードが4枚ある限り、自分の手札のこのコストを-8する。
ファンファーレ 自分の場の他のカードが4枚なら、自分の場の他のカードすべてを破壊する。


【骸ネクロ】から調整対象となったのはなんと《骸の王》。アンリミテッドでしか使用できないカードがナーフされるのは不具合修正を除けば《スカルフェイン》以来約2年振りの出来事であり、スタンダードパックでの登場から7年越しのお縄となった。

《骸の王》のプレイに追加で1PPかかるようになったことで、当然ながら【骸ネクロ】は大きく弱体化。3骸展開がほぼ不可能になった上4骸展開にも制約がかかるようになり激しくパワーを落としてしまう。

同時に調整を受けた【秘術ウィッチ】の被害が軽微だったこと、また【狂乱ヴァンプ】や【ホズミエルフ】などが無傷で環境に残っていたこともあり、【骸ネクロ】は大きく勢力を弱めることになった。

実際、ナーフ後に開催されたJCGアンリミテッド 2023/01/28において【骸ネクロ】は予選使用率が6番手、決勝進出は0人と惨憺たる結果を残す。

アンリミ禁止改訂  

3週間後の2023年2月20日、《不穏なる闇の街》《星見の望遠鏡》の禁止指定、及び《セラフィクレオ・ガルエル》の能力変更による弱体化が行われる。


これにより【ホズミエルフ】は環境の一線から姿を消した上、【秘術ウィッチ】も大きく弱体化。全体的に環境のデフレが発生したため、【骸ネクロ】にも再び活躍のチャンスが訪れる。

《愛絶の姦淫・ヴァーナレク》のアッパーを受けた【狂乱ヴァンプ】とある程度戦えること、また【ホズミエルフ】の弱体化で環境に顔を出してきた【AFネメシス】に対して強いこともあり、デッキの立ち位置を向上させた。

ちなみに《セラフィックレオ・ガルエル》は【骸ネクロ】においても採用率の高い重要カードであったが、それでも1コストニュートラルフォロワーと代替の効く枠であり、コンボパーツを失った【ホズミエルフ】が環境から退場した恩恵の方が大きい。差し引きプラスと言っていいだろう。

(なおガルエルは1コスト2面展開の役割を失ったにもかかわらず、進化時の破壊不能付与や《荒天の雷神》の早出しなどを1コストニュートラル枠の中ではおまけ効果が優秀なため依然採用候補となっている)

大規模ナーフ解除  

EAAアンリミの嵐は止まらない。


なんと2023年3月8日、43枚のナーフ解除が行われる。

様々なカードが元の能力に戻る中、第1期【骸ネクロ】の中心メンバーである《天界への階段》が帰還。

《天界への階段》
コスト1/アミュレット/ニュートラル
カウントダウン 7
自分のフォロワーが破壊されるたび、このアミュレットのカウントダウン を1進める。
ラストワード 次の自分のターン開始時、フォロワーをランダムに3枚、自分のデッキから手札に加える。
ファンファーレ エンハンス 5; カウントダウン を7進める。


現在においても強力な1コストアミュレットであり、《呪われた銅貨》と入れ替わりまたは追加される形でデッキを強化した。


また《ダラダラ天使・エフェメラ》のナーフ解除により後述のエフェメラ型【骸ネクロ】も成立している。


今の【骸ネクロ】  

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サンプルリスト

基本ムーブ  

現在の【骸ネクロ】の基本ムーブは、「2ターン目アミュレット設置、3ターン目アミュレット設置、4ターン目アミュレット設置+1コストカード→《骸の王》プレイ」となる。

これにより《骸の王》+2~3面の盤面を形成し、勝利を目指していく。

《セラフィックレオ・ガルエル》のナーフもあり強引な展開が難しくなったため、毎ターン確実にアミュレットを設置するために2コストアミュレットの価値が向上している。特に2度目の骸展開をサポートできる《ノーライフパーティ》は採用率が高まっている。

《百鬼夜行》のサーチと1コストNフォロワー  

《百鬼夜行》
コスト1/スペル/ネクロマンサー
葬送 したなら、ネクロマンサー・フォロワーをランダムに1枚、自分のデッキから手札に加える。
「元の攻撃力か元の体力が1のフォロワー」を葬送 したなら、1枚ではなく2枚手札に加える。

上述の通り、《百鬼夜行》は現在の【骸ネクロ】において設置する結晶フォロワーと《骸の王》をサーチしてくる極めて重要なカード。

このカードを最大限生かすため、1コストのフォロワーはネクロマンサーで優秀な効果を持つ《スカルファナティック》や《忠犬のゴースト》ではなく、効果が劣るもののニュートラルである《ジャーニーゴブリン》や《セラフィックレオ・ガルエル》が優先して採用される。

1ターン目のプレイが強力な《ジャーニーゴブリン》は確定枠で、葬送用のトークンを手札に加える《天球の天使》と破壊耐性付与/《荒天の雷神》早出しが可能な《セラフィックレオ・ガルエル》が選択枠となっている。

《幽魂の棺》や《双魂の久遠・ケリドウェン》などの葬送カードを採用しており《天使の伴走者》が活かせるなら《天球の天使》、そうでないなら《セラフィックレオ・ガルエル》が良いと思われる。

《天界への階段》と《ノーライフパーティ》  

《天界への階段》
コスト1/アミュレット/ニュートラル
カウントダウン 7
自分のフォロワーが破壊されるたび、このアミュレットのカウントダウン を1進める。
ラストワード 次の自分のターン開始時、フォロワーをランダムに3枚、自分のデッキから手札に加える。
ファンファーレ エンハンス 5; カウントダウン を7進める。

ナーフ解除された《天界への階段》はリソースを大きく回復させ2度目の骸展開を助けてくれるカード。

「ランダムに3枚」であるため運要素が絡むが、2枚目の《骸の王》、結晶フォロワー、面埋め用の1コストカードと再展開に必要なパーツを全て引いてくることが出来る。

ミラーマッチや対【ベレロビショップ】といった1回目の展開だけでは勝負の決まらない対面での貢献度が高い上、それ以外の相手にもカウントダウン7アミュレット(1ターン目長く場に残る)として盤面埋めの役割を果たすと明確にデッキを強化したカードと言える。

《ノーライフパーティ》
コスト2/アミュレット/ネクロマンサー
(1)カードを1枚引く。
(2)相手のリーダーに2ダメージ。
(3)自分の墓場を+3する。
自分のターン終了時、上記の能力が順に1つ働く。
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カウントダウン 8
能力によって破壊されない。(カウントダウン によっては破壊される)
ラストワード このバトルに敗北する。

《骸の王》のファンファーレで破壊されないアミュレットである《ノーライフパーティ》

ドロー&打点として優秀な効果を持つため元々採用候補の1つだったが、《天界への階段》との相性の良さから評価を高めている。

骸展開と合わせて《天界の階段》を破壊して手札を回復させても、空盤面からの再展開では5ターン目で「1コストカード×4+《骸の王》」6ターン目で「2コスト結晶+1コストカード×3+《骸の王》」が最大となってしまう。

対して場に《ノーライフパーティ》があれば5ターン目に「2コスト結晶+1コストカード×2+《骸の王》」、6ターン目なら「2コスト結晶×2+1コストカード+《骸の王》」の展開が可能。

特にミラーマッチの再展開において《スピリットイーター》をプレイできるかどうかの差が大きく、このカードが勝負を分けることも少なくない。

エフェメラ型  

《ダラダラ天使・エフェメラ》
コスト4/フォロワー/ニュートラル
1/3→3/5
潜伏
自分の他のフォロワーが攻撃するとき、そのフォロワーを、ターン終了まで+1/+0する。
《双魂の久遠・ケリドウェン》
コスト7/フォロワー/ネクロマンサー
6/6→8/8
結晶 1; カウントダウン 8
自分が葬送 するたび、このカウントダウン を1進める。
ファンファーレ 葬送 したなら、ランダムな相手のフォロワー1体に2ダメージ。カードを1枚引く。
ラストワード リアニメイト 4を行う。
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守護
ファンファーレ リアニメイト 10(双魂の久遠・ケリドウェンを除く)を行う。それが「チョイス と対象選択を含まないファンファーレ 能力」を持つなら1回働かせる。

3月8日のナーフ解除でコストが4に戻った《ダラダラ天使・エフェメラ》。このカードを《双魂の久遠・ケリドウェン》の結晶ラストワードで復活させるギミックを搭載したエフェメラ型【骸ネクロ】という型も一部ではみられるようになった。

他のフォロワーの攻撃時に+1/+0のバフを掛ける《ダラダラ天使・エフェメラ》は、《霊体の侵入》《霊魂の統率》といった細かく《ゴースト》を出すカードと相性が良い。

「《ダラダラ天使・エフェメラ》+《深淵の大佐》進化(9点)+《深淵の大佐》(7点)+《霊体の侵入》or《霊魂の統率》(4点)」で20点のOTKを決めることができるようになる。

また《双魂の久遠・ケリドウェン》により骸展開前の面干渉が可能となる、カウントダウンの大きい1コスト結晶で骸展開を助けてくれる点も小さくないだろう。

ただケリドウェンが《百鬼夜行》のサーチ精度を下げてしまう、エフェメラが事故要因になり得ると欠点も目立つ。



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Last-modified: 2023-03-18 (土)